2011/04/23

チャリティにご賛同いただいた皆様へ(再投稿)

100%FOR TOHOKU KANTOU チャリティセールを始めるまでの経緯を、私ホーボーテツ(?)の言葉でまとめてみました。ホーボージュンには遠く及ばない駄文ですが、ご賛同いただいた方 々に読んでいただければ幸いです。長い文章ですのでお時間のあるときにどうぞ。

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<地震当日>
仕事中に突然の揺れ。
人 生最大の揺れに驚いたが、さいわい被害といえば試作中のバックパックにコーヒーをこぼした程度。家族がみな無事なことを確認したあと、テレビをつけた。 「マジ!?」目を疑った。そこには津波が街を襲う映像がリアルタイムに映っていた.....津波から逃げる自動車、屋上に集まる人々....もしあれが自 分だったらどうする? 考えるだけで恐ろしい。ただただテレビを見た。

<3日目>
けっきょく丸2日 間、テレビに釘付けだったが、ふとした瞬間にこんな気持ちになった。「何千、何万という人が命を落としたのだ。いま生きてる人間はその分生きなければいけ ない」.....自分でも不思議なほど力が沸いてきた。「これまでの2倍は働こう。もうノンビリしてられない!」被災者のために、家族のために。そして次 に来るであろう、もっと大きな津波に飲み込まれないために。

<5日目>
渋谷でNPO法人バイシクルエコロジージャパンの緊急ミーティングに参加。白熱する意見交換のなか、何人かの若者が「すぐに東北に向かう!」と言った。行動する人間はほんとうに偉い。自分に沸いてきた使命感なんて、行動しなければなんの価値もない。そう思った。
そのころ、モンベルやスノーピークなどのアウトドアメーカーの支援活動を知ったが、とても自分にはあんな事できない... ではなにができるか?

<7日目>
友 人に誘われて、自転車のチャリティーイベントに参加。総勢300人も集まって、荒川の河川敷をライド。緩やかな団結感がほんとうに心地よい。この時期に遊 ぶことの罪悪感も「チャリティ」という言葉が軽くしてくれたが、どうもしっくりこない。いいイベントではあるが正直いって現地に貢献したという実感はな い。こういうチャリティを長く続けるなら「貢献できた」というリアルさがほしい。

<8日目>
東京にも 平和な日々が戻ってきた。ただ、計画停電など自分達のことに意識が移り、まわりをみてもオロオロする人ばかり。被災地に対する意識も薄れてきたように見え る。いっぽうでは海外からの支援が本格化し、日本を心配してさまざまなアクションをしている。海外から届くあたたかいメッセージには、ひとりの日本人とし て心を動かされた。自分は被災者じゃないのに涙が出た。

<10日目>
自分にできることはなにか? モ ヤモヤした日々を終えてようやく決意した。「HOBO GREAT WORKSでチャリティーセールをしよう!」 人も物も出せない、だから少しでもいい、経済的な支援活動をしよう。サイトウデザインのような小規模メー カーにしかできないことをやろう。

そして「200万円を目標に、通販の売り上げを100%寄付」と宣言。

ま わりの人間は呆れて「利益の100%でしょ?」と言った。ちがう!「売り上げ100%」だ。「利益の100%」なんていうのは実際のところ企業の負担はゼ ロじゃないか..... このチャリティの目的は「より多くのお金=支援を現地に届けること」 もし、賛同してくれる人がいるのなら、自分は原価を負担す ればいい。そうすれば原価の倍以上の金額になり、支援金として人の役に立つ。そもそもウチの売り上げの10%や30%くらいではなんの支援にもならない し、ほんとうに小さな自己満足で終わってしまう。当然、お客様に伝わる実感も少ない。
「在庫整理?」そんな言葉も出た。商売上はその一面も否定しない、実際HOBO商品は今の在庫限りで6月に新ブランドにシフトする。でもチャリティは別だ。これは長く継続させる。そのためにも200万円の目標を掲げたのだ。

一体こんなアクションが受け入れられるのか? 
戸惑いはあったが、目をつぶって行動に移した。

<11日目>
さっそくチャリティの内容をHOBOのホームページで告知。
タ イトルを「100%FOR TOHOKU 」にしたら速攻で妻に怒られた。「千葉や茨城も被災地よ!関東もいれなさい」....日頃、自分以上にHOBOの実務をしてくれている彼女には逆らえな い。タイトルは「100%FOR TOHOKU KANTOU 」に変更。語呂は悪いがカッコつけてる場合じゃない。

そして何人かの友人にお願いしてツイッターやブログで広めてもらった。
その夜、さっそく数件の注文メールが届く。「すごい!」
たった数時間のうちに、このアクションに賛同してくれた人がいたのだ。

注文メールのなかには「ユーザーと被災者の両方にプラスになる素晴らしい行動です」とのコメントも.....こちらは寄付をお願いしてる立場なのに、まさか感謝されるなんて...ほんとうに嬉しかった。

兄 にも事後報告した。電話口の兄はいつもよりテンション高く「おう!オレもいま動いてるところだよ」さすがホーボージュン。普段はあまりアテにできない兄だが、こういう状況では本当に心強い。阪神大震災のときに真っ先に飛んでいった姿を思い出す。うまく連携できそうだ。いままで自分はあまり表に出てこなかっ たが、これからはガンガン出ようと決意。

「ようやくスタートできた!」
震災に対する自分のスタンスもはっきりし、目の前が少しだけ明るくなった。

<1ヶ月目>
原 発事故や経済的被害など、我々東京の人間にも深刻な事態が迫っていて、多くの人はそちらに関心が移り、ニュースも「復興」ムードが濃くなった。だが実際に はまだ瓦礫の下には多くの人が横たわり、家族を捜し歩く人々がいる。そして現地には被災者のために働く人々も大勢いる。せめて彼らをサポートしたい。被災 地を忘れないために、そして賛同してくれる人を裏切らないためにも、やっぱり2倍働くぞ。

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このように始まったチャリティセールですが、おかげさまで毎日のようにご賛同とご注文を頂いており、皆様には本当に感謝しております! なるべく細く長く続けますので、引き続き応援していただけると幸いです。もちろん、チェストバッグも長くご愛用ください。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

斉藤 徹